気候変動への取組み

近年、世界各国で気温上昇、干ばつ、森林生態系の劣化等、さまざまな問題が生じています。西日本FHグループの主要地盤である九州・福岡においても、記録的な豪雨災害が発生しており、気候変動・自然関連課題への対応は、持続可能な地域社会の実現にとって大きな課題となっています。

西日本FHグループは、気候変動・自然関連課題の対応を経営戦略における重要課題と位置付けています。2021年4月にはTCFD提言への賛同表明をしています。西日本FHは、同提言等に沿った情報開示を行うとともに、お客さまの気候変動等への取組みを支援しています。

※金融安定理事会(FSB)が、投資家の適切な投資判断に資する気候関連財務情報開示を企業へ促すことを目的に設立したタスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)。

参画する主な環境関連イニシアティブ

  • 21世紀金融行動原則
  • TCFD
  •  GXLeangue

TCFDへの対応

ガバナンス

西日本FHは、取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会において、グループのサステナビリティに係る対応方針や重要事項の協議、取組状況の把握・助言等を行っています。サステナビリティ委員会での協議内容は、経営会議での審議・決定を経て経営戦略やリスク管理に反映させるとともに、取締役会に報告しています。取締役会は、報告された内容に対して適切に監督しています。

サステナビリティに係る具体的な活動については、経営企画部SDGs推進室が一元的に統括し、グループ各社の取組状況のモニタリングや施策のフォローを行っています。

サステナビリティ経営体制

戦略

西日本FHグループは、グループサステナビリティ宣言において、「地域の発展とグループ企業価値の向上を目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献」していくことを掲げています。環境への取組みに関連するSDGs重点項目として「目標11.住み続けられるまちづくりを」「目標13. 気候変動に具体的な対策を」を掲げ、気候変動・自然関連課題への対応を経営戦略における重要課題と位置付け、気候変動・自然関連課題それぞれに関するリスク及び機会を踏まえたさまざまな施策を展開しています。

気候変動に関するリスク

西日本FHは、気候変動に関する主なリスクを以下のとおり認識しています。

気候変動に関する主なリスク
※時間軸における短期は3年未満、中期は3年~10年、長期は10年超。
シナリオ分析

西日本FHは、気候変動リスクが顕在化した場合の影響が特に大きいと考えられる西日本シティ銀行において、想定する自然災害や分析対象に一定の前提を置いた上で、複数の将来シナリオに基づく分析を実施し、想定されるリスク量を試算しています。

以下の対象、手法及びシナリオを前提とした分析において、移行リスク、物理的リスクのいずれも財務への影響は限定的であると評価しています。西日本FHは、継続的にシナリオ分析の対象の拡大及び分析手法の高度化に取り組んでいきます。

移行リスク、物理的リスク
炭素関連資産

TCFD提言附属書(2021年改訂版)の定義に基づく炭素関連資産について、西日本シティ銀行の与信残高に占める割合は33.00%となっています。

TCFD提言附属書(2021年改訂版)の定義に基づく炭素関連資産
  • ※日銀業種分類をベースに該当業種を選定し集計。
  • ※「エネルギー」は、再生可能エネルギー発電事業向けを除く。
  • ※2025年3月末の貸出金、支払承諾等(コミットメントラインの空き枠を除く)の合計値で算出。
気候変動に関する機会

西日本FHは、気候変動に関する主な機会を以下のとおり認識し、脱炭素社会への移行(トランジション)をはじめとするお客さまの気候変動対応に金融・非金融の両面でソリューションを提供しています。

脱炭素社会への移行
※時間軸における短期は3年未満、中期は3年~10年、長期は10年超。
SDGs債への投資

西日本シティ銀行は、環境・社会課題の解決に資する投資の一環として、グリーンボンドやソーシャルボンド等のSDGs債への投資を実施しています。なお、2024年度の投資実績は61億円でした。

カーボンニュートラルに向けた取組み

西日本FHは、気候変動に関するリスク及び機会に対処するため、グループのCO₂排出量削減目標「2030年度までにカーボンニュートラル(対象:Scope1, Scope2)」を策定し、その達成に向けて、事業活動を通じたCO₂排出量の把握に努めるとともに、CO₂排出量の削減に取り組んでいます。併せて、持続可能な社会の実現に資するファイナンスを「サステナブルファイナンス」と位置付け、グループの実行額目標「2021年度から2030年度までに累計2兆円」を策定し、その達成に向けて、お客さまの気候変動対応をはじめとする環境・社会課題の解決支援に取り組んでいます。

カーボンニュートラルに向けたロードマップ
カーボンニュートラルに向けたロードマップ
環境配慮型店舗への建替え

西日本シティ銀行は、太陽光発電、雨水利用、LED照明、省エネ空調等のエコ設備を備えた「環境配慮型店舗」への建替えを進めています(2025年3月末現在28店舗)。

環境配慮型車両への切替え

西日本シティ銀行は、使用する営業車両等について、ハイブリッド車やEVへの切替えを進めています(2025年3月末現在ハイブリッド車・EV合計262台)。また、地域のEV導入支援を目的に、ユビ電株式会社と協業し、営業拠点のお客さま用駐車場に24時間アクセス可能な充電環境の整備を進めています(2025年3月末現在6拠点)。

リスク管理

西日本FHは、影響度や蓋然性の観点から、サステナビリティに関するリスクをトップリスクの一つとして特定しています。

気候変動については、リスク等の特定・評価のため、シナリオ分析を実施しており、その結果等を通じ、気候変動に起因する移行リスクや物理的リスクが、西日本FHグループの事業運営や財務内容等に影響を及ぼすことを認識しています。

また、環境・社会に大きな影響を与える可能性が高い特定のセクター等に対する投融資については、方針を定め、適切に対応しています。

今後も継続的に、サステナビリティ関連のリスクをコントロールするための態勢整備等に努めていきます。

特定セクター等に対する投融資方針
特定セクター等に対する投融資方針

指標と目標

サステナブルファイナンス実行額目標

2021年度から2030年度までに累計2兆円

CO₂排出量削減目標

2030年度までにカーボンニュートラル

※対象はScope1,2

サステナブルファイナンス実行額

西日本FHは、環境関連融資や創業支援等の持続可能な社会の実現に資するファイナンスを「サステナブルファイナンス」と位置付け、グループの実行額目標「2021年度から2030年度までに累計2兆円」を策定しています。お客さまの気候変動対応をはじめとする環境・社会課題の解決支援を通じて目標達成を目指します。

<サステナブルファイナンス累計実行額(2行合算)>
  • ※2021年度から各年度末までの累計実⾏額。
【サステナブルファイナンスの対象】
主な投資対象,商品の一覧
【気候変動対応に資する投融資実行額】(百万円)
CO₂排出量

西日本FHグループは、グループのCO₂排出量削減目標「2030年度までにカーボンニュートラル」の達成に向け、事業活動を通じたCO₂排出量の把握に努めるとともに、CO₂排出量の削減につながる具体的な取組みを実施しています。

CO₂排出量
※省エネ法の定期報告書の基準に準拠したScope1,2の実績値。
Scope3カテゴリ15算出への取組み

西日本FHは、Scope3(Scope1,2以外の間接排出量)の算出に取り組んでいます。2024年度は、西日本FHとして初めてGHG排出量可視化プラットフォーム「C-Turtle® FE」を用いた算出に取り組みました。

西日本シティ銀行における、2024年度のScope3カテゴリ15(投融資)の排出量を試算した結果、対象先のGHG排出量は約241万t-CO₂e(データ品質スコアの加重平均は約3.3)となりました。

引き続き、算出対象範囲の拡大やデータ品質スコアの改善等に取り組み、お客さまのGHG排出量削減支援やお客さまとの対話へ活用していきます。

試算結果(西日本シティ銀行)のグラフと業種別の内訳のグラフ
[試算方法・対象等]
  • 「 C-Turtle® FE」を用いて、PCAFスタンダードに基づき、CDPデータやサステナビリティレポート等から開示情報が取得できる先は実測値、その他の先は推計値により試算を実施。
  • 試算対象は、西日本シティ銀行におけるビジネスローン全体(試算に必要なデータが不足している先を除く)。
  • 対象先数及び対象先の融資額の割合は、西日本シティ銀行におけるビジネスローン全体に対する割合。
  • 対象先のGHG排出量は、Scope1,2の合計。