環境・気候変動への取組み

近年、気温及び気象パターンの長期的な変化を指す気候変動がもたらす影響により、世界各国で気温上昇、干ばつ、海面上昇等の甚大な被害が頻発しています。主要地盤の九州・福岡においても記録的な豪雨災害が相次いで発生しており、気候変動への対応は、持続可能な地域社会の実現にとって大きな課題となっています。

西日本FHグループは、気候変動への対応を経営戦略における重要課題と位置付け、2021年4月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同表明を行い、同提言に沿った情報開示を行うとともに、お客さまの気候変動への取組みを支援しています。

※金融安定理事会(FSB)により設置されたTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)が2017年6月に公表した提言。企業等に対し、気候変動のリスクと機会がもたらす影響等について、投資家をはじめとするステークホルダーに開示することを推奨している。

TCFD宣言への対応

ガバナンス

西日本FHは、取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会において、気候変動を含むサステナビリティに係るグループの対応方針や重要事項の協議、取組状況の把握を行っています。サステナビリティ委員会での協議内容は、経営会議での審議・決定を経て経営戦略やリスク管理に反映させるとともに、取締役会に報告する態勢としています。

具体的な活動については、西日本FH経営企画部SDGs推進室が一元的に統括し、グループ各社の取組状況のモニタリングや施策のフォローを随時行っています。

サステナビリティ経営体制
サステナビリティ委員会への付議事項(2022年度)
  • サステナビリティ経営に関する対応状況
  • TCFD提言への対応状況
  • 有価証券報告書へのサステナビリティ情報開示
  • CO₂排出量の状況
  • サステナブルファイナンス実行額の状況

戦略

西日本FHグループは、グループサステナビリティ宣言において、「地域の発展とグループ企業価値の向上を目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献」していくことを掲げています。また、SDGs重点項目の一つに「目標13. 気候変動に具体的な対策を」を選定し、気候変動への対応を経営戦略における重要課題と位置付け、気候変動に関するリスク及び機会を踏まえたさまざまな環境関連施策を展開しています。

気候変動に関するリスク

西日本FHは、気候変動に関する主なリスクを以下のとおり認識しています。

気候変動に関する主なリスク
※短期:3年未満、中期:3年~10年、長期:10年超
シナリオ分析

西日本FHは、気候変動リスクが顕在化した場合の影響が特に大きいと考えられる西日本シティ銀行において、想定する自然災害や分析対象に一定の前提を置いた上で、複数の将来シナリオに基づく分析を実施し、想定されるリスク量を試算しています。

今回の分析対象及び適用したシナリオの前提において、2050年までに発生しうる追加信用コストは、移行リスクでは累計で220億円程度、物理的リスクでは単年度で最大40億円程度となりました。移行リスク、物理的リスクのいずれも今回のシナリオ分析の対象においては財務への影響は限定的であると評価しています。

移行リスク、物理的リスク
炭素関連資産

TCFD提言附属書(2021年改訂版)の定義に基づく炭素関連資産について、西日本シティ銀行の与信残高に占める割合は34.02%となっています。

TCFD提言附属書(2021年改訂版)の定義に基づく炭素関連資産
  • ※日銀業種分類をベースに該当業種を選定し集計
  • ※「エネルギー」は、再生可能エネルギー発電事業向けを除く
  • ※2023年3月末の貸出金、支払承諾等(コミットメントラインの空き枠を除く)の合計値で算出
気候変動に関する機会

西日本FHは、気候変動に関する主な機会を以下のとおり認識し、脱炭素社会への移行(トランジション)をはじめとするお客さまの気候変動対応に金融・非金融の両面でソリューションを提供しています。

脱炭素社会への移行
※短期:3年未満、中期:3年~10年、長期:10年超

リスク管理

西日本FHは、気候変動に起因する物理的リスクや移行リスクが、西日本FHグループの事業運営や財務内容等に影響を及ぼすことを認識しており、今後も継続的にシナリオ分析の対象の拡大及び分析手法の高度化に取り組んでいきます。また、統合的リスク管理の枠組みにおいて、気候変動に関するリスクをコントロールするための態勢整備に努めていきます。

また、環境・社会に大きな影響を与える可能性が高い特定のセクター等に対する投融資については、以下の方針に基づき適切に対応しています。

特定セクター等に対する投融資方針
特定セクター等に対する投融資方針

指標と目標

CO₂排出量削減目標

2030年度までにカーボンニュートラル

※対象はScope1(直接排出)・Scope2(他社供給電気等の使用による間接排出)

サステナブルファイナンス実行額目標

2021年度から2030年度までに累計2兆円

CO₂排出量

西日本FHグループは、グループのCO₂排出量削減目標「2030年度までにカーボンニュートラル」の達成に向け、事業活動を通じたCO₂排出量の把握に努めるとともに、CO₂排出量の削減につながる具体的な取組みを実施しています。

~CO₂排出量の推移~
CO2排出量の推移
環境関連データ
環境関連データ
Scope3カテゴリ15算出への取組み

西日本FHは、Scope3(Scope1,2以外の間接排出量)の算定に取り組んでいます。Scope3の中でも、銀行ビジネスの特性上、排出量の大部分を占めるカテゴリ15(投融資)の把握に向けて、外部コンサルティング会社と協働のうえ試算に着手しました。引き続き、対象範囲の拡大や精緻化に取り組み、お客さまとの対話への活用や排出量削減支援につなげていきます。

<試算対象・方法>
  • 試算対象は、西日本シティ銀行におけるビジネスローン(グループ与信額3億円以上)。
  • 「地球温暖化対策の推進に関する法律」(温対法)に基づく「算定・報告・公表制度」の公開データを活用し、PCAF「グローバルGHG計測・報告スタンダード」に沿って試算を実施。
ロードマップ
  • ※割合は、西日本シティ銀行におけるビジネスローン全体に対する割合
  • ※対象先のGHG排出量は、Scope1,2の合計
カーボンニュートラルに向けたロードマップ(検討中のものを含む)
ロードマップ
サステナブルファイナンス実行額

西日本FHは、環境関連融資や創業支援等の持続可能な社会の実現に資するファイナンスを「サステナブルファイナンス」と位置付け、グループの実行額目標「2021年度から2030年度までに累計2兆円」を策定しています。お客さまの気候変動対応をはじめとする環境・社会課題の解決支援を通じて目標達成を目指します。

~サステナブルファイナンス実行額(2行合算累計)~
サステナブルファイナンス実行額(2行合算累計)
サステナブルファイナンスの対象
サステナブルファイナンスの対象

環境配慮型店舗への建替え

西日本シティ銀行は、太陽光発電、雨水利用、LED照明、省エネ空調等のエコ設備を備えた「環境配慮型店舗」への建替えを進めています(2023年3月末現在27店舗)。

同行初の新規出店である伊都支店(2023年10月オープン)は、日射遮蔽効果を高める“水平ひさし”、太陽光パネル、高効率な省エネ機器等を導入することで、建築物の環境認証「Nearly ZEB」及び「BELS(最高ランクの5つ星)」を取得しています。

伊都支店イメージ
伊都支店

また、現在建設中の西日本シティ銀行の新本店ビル(仮称)は、博多駅前のランドマークにふさわしい洗練されたデザインを採用するとともに、優れた環境配慮技術の採用により「ZEB Ready」の認証取得を目指します。加えて、BCPや感染症にも対応したハイグレードオフィスを実現します。

新本店ビル(仮称)イメージ

環境配慮型車両への切替え

西日本シティ銀行は、使用する営業車両等について、ハイブリッド車やEV車への切替えを進めています(2023年3月末現在ハイブリッド車・EV車合計111台)。また、地域のEV車導入支援を目的に、ユビ電株式会社と協業し、営業拠点のお客さま用駐車場に24時間アクセス可能な充電環境の設置も進めています(2023年3月末現在5拠点)。

参画する主な環境関連イニシアティブ

  • 21世紀金融行動原則
  • TCFD
  •  GXLeangue